『chatmonchy has come』 チャットモンチー

chatmonchy has come

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『chatmonchy has come』(2005年11月23日)チャットモンチー

このアルバムはリアルタイムで買って非常に聴いた。今でもたまに聴いている。もう10年も経ったんだな〜。
デビュー前からロッキング・オン・ジャパンで猛プッシュされており、山崎洋一郎がポップの奇跡!とかそんな感じで煽りまくっており、まんまとそれに乗せられたわけだ。

スーパーカーいしわたり淳治プロデュースというのも注目ポイントだった。スーパーカー時代のジュンジは、バンドのサウンドにはほとんど影響を与えていなかったと思うが、戦略家で賢く山崎洋一郎田中宗一郎の寵愛を受けていた。ややいけ好かない存在ではあったが、この男のプロデュースというのは何かあるのではないかと思った。

そして何よりジャパンで見た橋本絵莉子の姿!今となっては恥ずかしい表現だが大いに萌えた..。そして「JAPAN COUNTDOWN」で観た「ハナノユメ」のPVを観てますます萌え狂った..。

それはさておき、橋本のようなタイプの人は70年代や80年代であれば絶対にロックバンドなどやっていなかっただろう。曲調もロックというよりは、むしろ童謡のような感じ。ブルーハーツについて大貫憲章は童謡パンクなどと評していたそうだが、ブルーハーツは確信犯的にそれをやっていた面もあるが、チャットモンチーは自然にああいう曲を作っていたのだろう。作詞についても極めて素直な卒業ソングや、恋愛も中学生あたりが読む少女マンガのような世界観である。しかしこうした純朴さが、なかなかに良かったのである。こういうバンドが登場したというのが00年代のJ-ROCKなのだろう。

聴き始めの頃は、シングル扱いだったポップな「ハナノユメ」が良かったが、そのうち「惚たる蛍」が素晴らしいと思うようになり、今でもこの曲が一番好きである。これがチャットモンチーの一番コアな表現だと思う。ダイナミックな「サラバ青春」も感動的。メンバー3人とも作詞をするというのも珍しかったが、力量としては脱退した高橋久美子が一番優れていたのではないだろうか。

アイドル的な売り方をされてもおかしくなかったと思うが、余計な加工などはされておらず、すでにバンドの個性がはっきりと打ちだされた演奏。決して器用ではないが、どっしりとした重心の低いグルーヴ。チャラチャラキャピキャピとした雰囲気はまるで感じられない。

一見純朴な中学生のような橋本は、デビュー当時からインタビューにおいて言葉少なでありながら自信満々な発言をしていて、意外にも腰の座ったしたたかな人なのだと思ったものだ。

その後1stアルバムの『耳鳴り』も非常に良く聴いたし、「シャングリラ」まではフォローしていたが、以降はあまり聴かなくなってしまった。2ndアルバムの『告白』も聴いてはみたものの、ずいぶん楽曲も演奏も軽くなってしまったなと思い、3rdアルバム以降はほとんど聴いていない。

当時ライブに行かなかったことを今になって後悔している。当時の彼女達の演奏を直接聴きたい。