2012-01-01から1年間の記事一覧

青山七恵「ひとり日和」

青山七恵「ひとり日和」を読む。 わりと評価の高い作家のようだが、これまで読んだことは無かった。若い女性が遠戚で一人暮らしをしている老婆の家に住まわせてもらうというお話である。 読んでいる最中は、メソメソムードというか最近の小説によくありがち…

『マイ・バック・ページ』

3/28(水)池袋・新文芸坐にて山下敦弘監督・向井康介脚本「マイ・バック・ページ」。 平日の最終だからかガラ空き。最近は映画館に来るのもかったるくて、新文芸坐に来るのは約1年ぶり。 かつては通い詰めたものだったのだが。山下敦弘の映画は、「リアリズ…

「やがて哀しき外国語」と「アメリカと私」

村上春樹の「やがて哀しき外国語」を読む。村上春樹の最近の長編小説についてはもう勘弁してって感じで、「1Q84」も序盤で放り出してしまった。 しかし今でもエッセイは面白いし、翻訳の仕事も素晴らしいと思う。何年か前に出たブライアン・ウィルソンの評伝…

「評伝 黒澤明」

堀川弘通「評伝 黒澤明」を読む。以前小林信彦がこの本についてずいぶん褒めていてその影響で読んでみたのだ。小林信彦が選考委員だった時にBunkamuraドゥマゴ文学賞も受賞している。黒澤明については腐るほど本がでているが、面白そうなものは少ない。単に…

ソフィア・コッポラ「ヴァージン・スーサイズ」

ソフィア・コッポラ監督「ヴァージン・スーサイズ」を観る。やっぱり育ちがいいんだなと思わせるセンスの良さを感じた。どういう作品をつくれば評価されるのかということが、ちゃんと分かっている人が作っている映画だと思った。DVDの特典で収録されている映…

黒澤明「素晴らしき日曜日」 レオ・マッケリー「我が道を往く」

黒澤明監督の初期作品「素晴らしき日曜日」を観る。黒澤映画は5,6年前に池袋新文芸坐の特集でまとめて観たことがあり、多分20本程度は観ていると思う。まあ「七人の侍」でさえ居眠りをしていたくらいだから、大したファンとはいえないが。もちろん映画とし…

ヘルツォーク初体験

日曜日に早稲田松竹にてヴェルナー・ヘルツォークの「アギーレ/神の怒り」「フィツカラルド」を観る。 ヘルツォークの映画を観るの、実は初めて。幻想的な映画のイメージだったが、かなり土着的な映画だった。「アギーレ/神の怒り」は冒頭のジャングルのシー…

現状維持

ネット上で話題になっている、西村賢太が出演した「笑っていいとも」を観たのだが、めちゃくちゃ面白かった。西村賢太は坪内祐三とか文学関係の人と対談するより、高田文夫と対談している方がイキイキとしている感じだったし、テレビに出ている方が面白いな…

「ばかもの」の凄み

絲山秋子「ばかもの」を読む。なかなか面白かった。特に主人公がアル中になり、深みにはまっていくところにはグイグイ引きこまれた。絲山秋子はかなり前に「イッツ・オンリー・トーク」と「逃亡くそたわけ」を読んだだけだが、いずれも駄目になってしまった…

川端康成と江藤淳の文芸時評

図書館で借りてきた川端康成と江藤淳の文芸時評を読んだ。(川端は『文芸時評』(講談社文芸文庫)、江藤は『全文芸時評上下』(新潮社)。)江藤淳の方は原稿用紙3,000枚、20年におよぶ文芸時評をまとめたものなので、さすがにすべては読みきれなかったが、…

「小説家達の休日」と「サンディニスタ!」

川本三郎・文、樋口進・写真の「小説家たちの休日」を読む。様々な昭和の文人について、川本三郎のスケッチのような文章と樋口進による写真が掲載されている。文人達の写真はどれもなかなかインパクトがあり、特に永井荷風の写真は凄まじい。面白い本だった…

晩年の江藤淳

江藤淳『月に一度』を読む。これは1998年に刊行された江藤淳最晩年の政治論集である。このところ江藤淳の60年代の文芸評論・時評・エッセイを乱読しており、どれも面白くて圧倒されていたのだが、この本はあまり迫力が感じられず面白くなかった。 若い頃の江…

坪内祐三×湯浅学@池袋ジュンク堂

2/25(土) 池袋のジュンク堂書店に行き、湯浅学・坪内祐三のトークイベントを見る。湯浅学という人にはどちらかというと懐疑的だったのだが、なかなか面白かった。レコード・オーディオマニアっぷりは凄まじいものだし、坪内祐三がトークで指摘していたが、…